自筆証書遺言書保管制度とは?

自筆証書遺言書は、公正証書遺言とは異なり、特別な費用はかからず1人で作成が可能です。しかしながら、内容に一定の要件を満たす必要があり、不備があると遺言書自体が無効になってしまうこともあるなど、なかなか利用が難しいところがありました。こうした問題を解消するため、自筆証書遺言書とその画像データを法務局で保管する「自筆証書遺言書保管制度」が、令和2年(2020年)7月10日からスタートしています。この制度は、現在、全国312か所の法務局で利用することができます。
自筆証書遺言書保管制度の長所
- 適切な保管によって紛失や盗難、偽造や改ざんを防げる
- 法務局で、遺言書の原本と、その画像データが保管されます。
- 無効な遺言書になりにくい
- 民法が定める自筆証書遺言の形式に適合するかについて法務局職員が確認するため、外形的なチェックにはなりますが、形式は確認してもらえます。
- 相続人に発見してもらいやすくなる
- 遺言者が亡くなったときに、あらかじめ指定されたかたへ遺言書が法務局に保管されていることを通知してもらえます。
- 検認手続が不要になる
- 通常、遺言者が亡くなった後、遺言書(公正証書遺言書を除く。)を開封する際には、偽造や改ざんを防ぐため、家庭裁判所に遺言書を提出して検認を受ける必要があります。自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、検認が不要となります。
自筆証書遺言書保管制度利用の流れ
- ①自筆証書遺言書を作成する
- 決められた様式で遺言書を作成する必要があります。また記載する内容や修正の方法についても民法で定められた要件があります。確認しておきましょう。
自筆証書遺言書を作成する際の注意点

- ②管轄の法務局を選ぶ
- 自筆証書遺言書保管制度を利用できる法務局は、全国に312か所あります。その中から、遺言者の住所地、遺言者の本籍地、遺言者が所有する不動産所在地のうち、いずれかの管轄する法務局で申請手続をします。
管轄/遺言書保管書一覧

- ③申請書を記入する
- 保管申請は、申請書を提出して行います。申請書は以下からダウンロードできる他、最寄りの法務局の窓口でも入手できます。
法務省「申請書/届出書/請求書等」

- ④手続きのための事前予約をする
- 法務局で行う手続は、事前予約制です。必ず予約専用ウェブサイト、電話又は窓口であらかじめ予約する必要があります。
ウェブ:「法務局手続案内予約サービス」
電話:法務省「法務局・地方法務局所在地一覧」

必要な書類に不足等がなければ、原本とその画像データが保管され、保管証が渡されます。この保管証には、遺言者の氏名、出生の年月日、手続を行った法務局の名称・保管番号が記載されます。なお、保管証は再発行されませんので、大切に保管してください。